チャレンジャーセールスモデル
- 2021.03.24
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- スポーツマーケティング, チャレンジャーセールスモデル

1970年代に顧客の課題を理解して解決策を提供するソリューション営業という考え方が生まれた。顧客との数回の打ち合わせで課題をインタビューし最終提案を提出する。しかし、提案はイマイチなことが多く、今はこの方法では限界なのである。企業課題はさまざまであり、課題把握には手間がかかり顧客にも負担がかかる。結果、顧客は疲れを感じ、売り手は手間の割には売れず効率が悪い。
一方で提案に手間をかけずに売れる人がいる。この違いは何なのだろうか?
セールスは5つのタイプに分類できる
論客型:論議を恐れず顧客に自己主張する
一匹狼型:自信家で我が道を行く
勤勉型:誰よりも多く電話し顧客を訪問する
受動的問題解決型:要望には必ず対応する
関係構築型:顧客のためなら必死に働く
従来では理想は関係構築型と言われていたが、実は最も成績が悪かった。突出して高業績なのが、論客型でありこれが「チャレンジャーセールス」である。
論客型はある意味上から目線だ。顧客に独自の知見を提供し、「こうすべき」と良い意味のプレッシャーをかけ建設的な緊張を作り、顧客を指導する。関係構築型は逆に下から目線。顧客と仲良くなるように緊張を和らげ、協力を促す。緊張という点で両者は正反対だ。現代のB2B営業では複雑な問題解決が必須だ。問題解決には顧客が行動を変える必要がある。論客型は顧客に変化を促し成功する。関係構築型は変化を生み出せない。
論客型を目指すには「指導、適応、支配」の3つのスキルが必要となる。
差別化のための「指導」
「プレゼントするから欲しいモノを教えて」と言う人と「欲しいものはこれですよね」とその場で期待を超える素敵なプレゼントをする人では、相手をワクワクさせるのは後者の人であろう。現代のB2B営業も同じである。多くの顧客は自分の課題がわからず困っている。課題を教えてあげることが有効なのだ。そこで顧客の知らない知見(インサイト)を提供し、顧客の考え方を変えるのである。顧客はセールスの知見を重視している。口には出さないが自分の考え方を覆す力を期待している。必要なのは、「まさにその通り」ではなく、「え?考えたこともなかった」と言わせ顧客に次の行動を促すこと。
そこで説得力のあるストーリーと知見が求められている。しかし、その知見も商談につながらないとセールスとしては意味がない。指摘した課題を売り手であるセールスだけが解決でき、「なぜ他社でなく当社から買うべきか?」と言う質問に答えることが必要だ。
共感を得るための「適応」
従来はセールスは顧客の意思決定者(経営幹部)を説得せよと言われてきた。しかし、現代の意思決定者は社内の幅広い支持を重視する。その判断に大きな影響を与えるのが社内のインフルエンサーだ。購入する商品サービスの既存ユーザーや専門家として意思決定者が頼りにする人のこと。意思決定者や経営者への影響力はセールスよりもインフルエンサーの方が格段に大きく率直な意見を求める。パターンは変わっている。
営業プロセスの「支配」
セールスは顧客を動かし、お金の話を厭わず、営業プロセス全体を通して主導権を維持することが必要だ。多くのセールスは面談の機会にはすっ飛んでいくが、論客型は上の人と会わないと話が進まないと知っている。だから最初にこう言う「当社の提案は意思決定者(幹部)の方が関わります。いつお目にかかれますか?価値へのリアクションが確認できないので、私共での話し合いは意味がないと思われます。」
論客型は、顧客の課題について独自の知見を提供し、建設的に自己主張し、仮説を曲げず、時にキツイ言葉も使う。そして営業プロセスを主導し、簡素化する。勝率は高い。顧客が偉いと言う考え方は捨て、セールスは顧客が知らない知見があるので主導できる。
いまや顧客に考えさせ、創造的な方法で顧客をサポートするセールスが評価される。
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