コミュニケーション最適化プロセス COPと4M

コミュニケーション最適化プロセス COPと4M

広告はアートではない。カイゼンが必要だ。

衝撃な事実がある。多くの企業が広告に巨費を投じているが、その多くはムダだ。米国では年間広告費30兆円のうち11兆円がムダである。日本国内のコンビニ全店の売り上げと同じ金額だ。

広告には説明責任がない
広告は数字では測定できず、売り上げにどの様に貢献しているかを答えられるケースはとても少ない。多くの広告担当者はイメージ向上への貢献やアート(クリエイティブ)であると答える。ある経営者は広告経費の半分がムダであることは認識しているが、どの部分がムダなのかがわからないと言っている。半分はムダであるが半分は効果が出ているということである。だから企業は広告をやめられないジレンマに陥ってしまう。広告をイメージ向上やアートと放置せずカイゼンが求められている。

目標が無かったり、各自がバラバラに目標を考えていたり、消費者が「なぜ買うのか」「何を伝えるのか」が不明確なまま行っても成果はあがらない。そこでコミュニケーション最適化プロセス(Communication Operation Process )で最適化する。
具体的にはチームを作り会議を3回に分けて行う。
①「なぜやるか」という目標を決める
②「どうやるか」の行動プランにチームが合意する
③実施したテストに基づきカイゼンを図る。その中では常に広告の4要素である4Mを意識し最適化する。

4M
なんで買うの? 「モチベーション(motivation)」
何を伝えるの? 「メッセージ(message)」
どう伝えるの? 「メディア(media)」
儲かるの?   「マキシマイゼーション(maximization):最大化」

なんで買うの?
メンバー全員が答えられる様にシンプルなものにする。
例:「新しくて美味しいから」

何を伝えるの?
メッセージを決めるには消費者と同じまっさらな目線でブランドを見ることが大切。
多くの人はスマホの片隅で広告が一瞬目にうつる程度である。伝える側は四六時中ブランドの事を考え努力しすぎることで消費者との目線が大きく歪んでしまう。

客観的に消費者を理解する方法はいくつかあるが、消費者に聞いても効果は薄い。P&Gが1000人の消費者へ、商品に関するイメージの聞き取り調査を行ったが半数が間違った回答をしていた結果がある。消費者は自分の認識や行動を理解しておらず、現実には消費者は広告を覚えていなくとも、無意識に影響を受けて行動している。態度や行動にどんな違いが出たかを調べるべきであり、A/Bテストが最適である。

どう伝えるの?儲かるの?
メディアを活用しメッセージを増幅させる。同じモノを同じメディアで3回見せるより、異なるメディアで見せる方が、消費者への影響力は高く、広告効果が増幅する。全てのタッチポイントで顧客に一貫した声を届けることが必要である。さらにはコスト、頻度、効果、を考慮した上で最適な組み合わせを見つけ、広告効果の最大化を図っていく。

これらのことは、すごい秘密ではなく当たり前の事ばかりである。当たり前のことができない理由はマーケティングは感情的なもので、アートであり数字では測定できないという独特の文化が根強くあることが原因と言われている。また、膨大な時間をかけてブランドを考え続けることによって、目線が消費者と比べて大きく歪んでしまう。現在の広告は不備が多く、本来の広告の役割である「売上向上の実現」のために効率化を測れる余地は実に大きい。